子供のように泣き続けたフェイトを抱え、
クリフは自室へと戻ってきた。
ミラージュに『フェイトを見つけた』とメールを打つ。
それで察したらしく、返信は簡潔だった。



クラウストロ本星は、もう夕刻だった。



泣き止んだフェイトは、そのまま眠りに落ちた。
赤くはらした両の目蓋を覆うように、冷たく絞ったタオルを当てる。
穏やかな気持ちだった。

フェイトの指はしっかりとクリフの服のすそを握っており、
嬉しい自己主張をしていた。
意地っ張りな癖に、寂しがりなのだ。





エターナルスフィアを守る戦いの中で、クリフはフェイトの心のうちに気づいていた。
むしろ、筒抜けだったといっても良い。
しかし、隠そうとしているものを無理に暴くこともない。


つまるところ彼は、優越感に浸っていたのだった。
すべてが終わったら、自分からも打ち明けよう。
そう考えて。



しかし、創造主との戦いのあと。
フェイトは姿を消した。


そのときの喪失感は、途方もないものだった。
足元が崩れていく感覚と、後悔が混じったものがどうしようもなく自分を追い詰めた。
心の中で、狂ったようにフェイトを求めた。

忙しさのあまり、忘れることが出来るかとも思ったが。
むしろその合間にフェイトを思い出しては、心が乾いていった。


微かな寝息が漏れている。
そこに、触れるだけ、と唇を落とす。
明日は、すべてを伝えよう。













夢を見ていた。
魔法使いが現れて、僕に問う。
『何でもほしいものをあげる。
 望みのものをいってごらん』
魔法の杖からは、きらきらした綺麗なものがたくさん溢れてくる。
僕の心は、すこしも動かなかった。
痺れを切らした魔法使いが、もう一度僕を誘惑した。
『でも、僕がほしいのは
 そんなものじゃないんだ』




僕は、クリフがほしいんです
他には何も望みません














目が覚めると、クリフの寝顔が目に飛び込んできた。
体を動かそうとしたが、がっしりとした腕に包み込まれているのが分かっただけだった。
ようやく伸ばした手のひらで、頬に触れる。
「…クリフ…?」
小さな声で呼ぶと、抱きしめられている腕に力がこもった。
なんとなしに。クリフが自分を欲しているのだと感じた。
くすぐったいような気持ちにかられて、厚い胸板に頬を寄せる。

とたんに起き上がった体にのしかかられ、フェイトの体は押さえ込まれていた。
「く、クリフ…!?」
ほとんど寝起きであるだろうに、彼の目には野生を帯びた光が映っている。
「フェイト」
肩の辺りに顔をうずめるようにして、クリフは言った。

「もう我慢しねぇ。
 好きだ」

目を見開いて、思わずクリフの顔を追う。
照れたような耳元だけが見えて、可笑しかった。
吹っ切れた気持ちになり、思わず言葉が出た。
「…僕もだ」



「僕だって…我慢してたんだ、たくさん」

胸元には、いくつもの痕が残されていた。
二つの飾りは散々弄ばれた名残か、てらてらと光っている。

自分の体がクリフによって開かれていくのが恥ずかしくて、
フェイトは瞳を閉じたままだった。
手指や唇の愛撫に任せるまま、控えめな声をあげた。
そこここが、熱い。

クリフに触れられた箇所が、ふわりと溶けていくような感覚を覚える。
とうとう、下半身も空気に晒された。
じっと見られたくなくて、すぐさま足を閉じようとするが、
足首をつかまれればもう抵抗は出来ない。

ぐっと開かれたそこに、視線が落ちるのが分かった。

「綺麗だぜ…フェイト」

「馬鹿言うな… っあ!!」

減らず口を黙らせるように、ごつごつとした手にフェイト自身が捉まれ、緩く扱かれる。
それと同時にぬめる感覚が後ろ側を襲った。

割って入ってくる舌先は、狭いひだのひとつひとつまで潤そうとしている。

「やめ…、そんな、とこ…!」

恥ずかしさのあまり、いやいやと首を振るが、
クリフはお構いなしに舌で犯し続けた。

堪え切れなくなったフェイトの体が跳ねた。
クリフの手に精液がかかる。

「…っあ……、ごめん…」
平らな胸を上下させながら、フェイトは申しわけなさそうに目を伏せた。
「謝るこたぁねぇよ」
フェイトの様子を満足げに眺めながら、クリフは体を起こし、
ファスナーをおろして自身を取り出した。
ちらりと目をやったフェイトはすぐに視線をそらし、自分のものとのあまりの差に息を呑んだ。
「入れるぜ?」
怖い、思ったが、口には出さなかった。
クリフを受け入れたかった。

潤滑剤の代わりなのか、フェイトの放ったものを自身へと塗りつける。
「力は抜いとけ」
微かに頷いて、フェイトはクリフの首に腕を回した。
押し当てられる感覚のあと、少しずつ分け入ってくるのが分かる。
「…っ」
苦しげな息が漏れた所為か、クリフの動きが止まる。
「大丈夫か」
気遣ってくれるのが嬉しかった。
「平気だから…クリフ」
ねだるように、少しだけ腰を押し付ける。
僅かに目を開けると、まっすぐな瞳が自分だけを見ていた。

「…ん! …っん、あっ」
体中が、クリフでいっぱいになっているような圧迫感がある。
クリフの唾液と自分の精液が擦れて、音を立てた。
フェイトの体を気遣って、ゆっくりとした動きだったのが、次第に早くなっていく。
水音は耳に痛いほど聞こえて、
それが更に二人を煽る。

「あっ、や、やぁ」
「嫌か」
「ちが…!」

嫌ではないのだ。
フェイトは無我夢中で唇を求めた。
クリフもそれに答え、舌を絡ませる。
やがて、クリフが達し、体の中に注ぎ込まれたのが分かった。





後日、少しばつ悪げに恋人の隣にたたずむ少年に会い、
マリアは晴れ晴れとした顔で笑っていた。
ソフィアはもう伝え聞いただろうか。
ようやく結ばれたのだ、と。

"もうひとりの自分"にも、"お父さん"にも。
幸せになって欲しかった。
だから、とても嬉しかった。
大切な二人だから、いつも幸せでいて欲しかったのだ。








フェイトはクリフに尋ねた。
何故自分を探して、追ってきたのかと。

クリフはいつものように、
迷いなく答えた。


「神サマなんぞいなくてもいいが、
 お前なしの世界は俺には考えられねぇ」




「愛してるぜ」







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