自分ではどうにもならず、抗えないものがあるのだと思う。
それは本能であったり、
運命と呼ばれる奇妙な縁(えにし)であったり、
そう、たとえば。
彼が此方を向いて笑ってくれるとき。
逞しい腕が、自分をたからものだと抱きしめてくれるとき。
低く、心地よい声で名前を呼んでくれるとき。
どうにも抗えない強い気持ちと同時に、けだるさにも似たあたたかい痺れでいっぱいになる。
ああ、僕は。
このひとが、好きだ。
「桜、見たことある?」
いすに浅く腰掛け、腕組みをしたクリフに向かって。
フェイトは尋ねる。
行儀よく座り、両手で広げて見ているのは植物について書かれた本。
「…なんだそれ。美味いのか?」
「……どうしてそこで食欲にいくかなぁ」
クリフは顎に手をあて、思案しているように視線をめぐらす。
そんな表情も好きだ。
いつまでたっても合点がいきそうにないのを見越し、
今しがた見ていたページを広げて目の前に突き出す。
「これ。この写真がそうなんだけど」
フェイトは立ち上がり、さらに解説を加えた。
地球の一部に分布していて、春にいっせいに花開くこと。
国同士の友好のために贈られた樹木であること。
花を愛でながら、宴をひらく習慣があること。など。など。
「…花を見ながら酒、なぁ。地球にはそういう習慣があるのか」
クリフは解説にいちいち律儀に頷く。
そして、尋ねる。
「お前はその花見ってやつをよくやってたのか?」
フェイトは肩をすくめ、首を振った。
「いや、こういうのって…家族とか、親戚とか、大勢で集まってやるものだからさ。
写真や映像では良く見てたけど、僕は全然」
家族で行事、というのは、ほとんど覚えがない。
一人で食事は当たり前だったし、両親のどちらか、または両方とも。一日見ない日だってあった。
勿論花見などしたことがない。
ただ今いるここ、シランドでは今まさに春爛漫といった陽気で、
本の中の満開の桜が目に留まったのだ。
ぱたん、と本を閉じ、
ちょうどクリフの肩にもたれかかるように斜めに立つ。揶揄うように呟く。
「夜通し飲み明かしそうだね、お前は」
そう言って笑うと、
「おう」
と返ってきた。
触れている部分が、ほんの少しなのにちりちりと熱くなる感覚。
そこから甘く甘く麻痺していきそうな心。
光を思い起こさせる金髪が、窓をすり抜けた春日に反射して揺れる。
「なぁフェイト」
「…うん?」
深いふかい海の色をたたえた双眸が、フェイトの目を捉える。
「全部カタつけたらよ、花見、しようぜ。
ふたりでな」
照れ隠しのように、やっぱり大勢のほうがいいか?と尋ねる声。
フェイトはくちの端で、嬉しくて笑い出したい気持ちを堪えた。
そして、ありったけ平静を装う。
「いいよ。
僕は、クリフとふたりがいい」
そう言った後、やっぱり耳の辺りが熱くなった。
+++++なにこの駄文。死んでしまいたい。クリフって愛情垂れ流しな人じゃないの? そうじゃないの? と自分に突っ込む。
フェイトがクリフ好き過ぎて、阿呆な子になってます。は!もしや自分がクリフ好き過ぎたからこんなになったのか!!??(遠い目)
ゴーン。まあゲームあんまり進めてないので出てくるネタも最悪です。用語もさっぱり分かってません。もうちょっと賢い文章かけるようになりたい…。
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